帯状疱疹で悩まれている方は多くいらっしゃいます。80歳までに1/3程度の人が発症するともいわれている病気です。
進行するとともに痛みも増す傾向にあるため、辛い症状が出る方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、帯状疱疹の原因と治療法について詳しく解説しています。帯状疱疹を予防する方法もありますので、帯状疱疹で悩まれている方だけでなく帯状疱疹を回避したい方もぜひご参考にしてください。
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水ぼうそうと同じウイルスで発症する病気です。
体の左右どちらかの神経に、痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが生じます。症状が帯状に現れるため「帯状疱疹」と呼ばれています。
帯状疱疹の原因はウイルス
帯状疱疹の原因は、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスです。
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した場合は、水ぼうそうを発症します。治っても体の中に水痘・帯状疱疹ウイルスは潜伏し続けるため、免疫力が低下した際に今度は帯状疱疹を発症してしまいます。
帯状疱疹の症状とは
帯状疱疹の症状は、皮膚の痛みやかゆみなどの違和感から始まります。神経に沿って皮膚に現れるのが特徴です。時間が経過するとともに発疹や水ぶくれの症状も現れます。
次第に強い痛みが生じて、眠れないなど日常生活に支障をきたすこともあります。
重症化すると、顔面神経麻痺を引き起こす恐れもあります。
帯状疱疹後神経痛にも注意
帯状疱疹の後遺症に、帯状疱疹後神経痛というものがあります。
皮膚症状が治っても痛みが残り、ズキズキしたり締め付けられるように痛かったりする強い痛みを感じます。
帯状疱疹の痛みは、神経が炎症を起こして皮膚に生じる痛みです。一方で、帯状疱疹後神経痛は皮膚症状が治った後に生じ、神経の損傷による痛みといわれています。
帯状疱疹になりやすいのは50代以降
帯状疱疹は50代以降から発症率が高まります。若い年代で発症することもありますが、50歳以降に帯状疱疹を発症する人が多い傾向にあり、帯状疱疹を発症している7割程度が50代以上です。
50代以降で発症しやすいのは、加齢による免疫力の低下が考えられます。近年では、過労やストレスによって免疫力が低下する方も多いでしょう。ストレスを溜めすぎない、睡眠時間を十分に確保するなどの対策も必要です。
また、多くの場合は子どもの頃に水ぼうそうを発症しますが、子どもの頃に水ぼうそうを発症したことがない大人は重症化しやすいため気をつけましょう。重症化すると肺炎を引き起こすこともあります。
帯状疱疹の治療法
帯状疱疹の治療法は、症状によって異なることがあります。
重症化することもあるため、早めに診察を受けて治療を開始することが大切です。
抗ウイルス薬による治療
帯状疱疹の基本的な治療は、帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスに対して抗ウイルス薬を用います。
抗ウイルス薬には、アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビルなどがあり、早期治療が望ましいです。
重症化した場合は、入院して抗ウイルス薬の点滴による治療が必要になります。
痛み止めの服用
帯状疱疹は発疹より先に痛み症状が出ることが多くあります。帯状疱疹による痛みが生じている場合は、鎮痛薬での治療を行います。
ただし、鎮痛薬はあくまで痛みを緩和させるものであり、帯状疱疹自体を治す効果はありません。
日常生活に支障をきたすほどの強い痛みがある場合は、神経ブロックと呼ばれる治療を行うこともあります。
塗り薬での治療
帯状疱疹の治療で、塗り薬による治療を行うことがあります。ウイルスの活性化が落ち着いている場合や軽症である場合は抗ウイルス薬の塗り薬を使用します。
発疹や炎症を抑える抗炎剤、皮膚潰瘍治療薬などの塗り薬を用いることもあります。
帯状疱疹後神経痛の治療
帯状疱疹の症状が治っても、その後に帯状疱疹後神経痛の症状で悩まれている方は多くいらっしゃいます。眠れないほどの痛みを経験したことがある方も多いでしょう。
帯状疱疹後神経痛の基本的な治療は、薬物療法になります。
帯状疱疹後神経痛の痛みの程度や症状によっては、麻酔薬を注射し神経の興奮を抑える神経ブロック療法や、麻薬性のオピオイド鎮痛薬を使用することもあります。
帯状疱疹の予防
帯状疱疹は加齢とともに帯状疱疹後神経痛などの辛い症状が生じやすいため、予防を心がけたほうがよいでしょう。
帯状疱疹の予防法や対策法をご紹介します。
帯状疱疹には予防接種という選択肢も
日本人の多くは、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染で子どもの頃に水ぼうそうに罹っています。そのため、水痘・帯状疱疹ウイルスの免疫を持っているのですが、免疫は加齢とともに弱まる傾向にあります。その結果、50歳以降に帯状疱疹を発症する方が増えるのです。
一度帯状疱疹を発症して治ったとしても、体の免疫力が低下すると再度発症する可能性はあります。
帯状疱疹を予防する方法の1つとして、50歳以上の方は帯状疱疹の予防接種を受けられます。予防接種を受ければ必ずしも帯状疱疹を発症しないというわけではありませんが予防として有効な方法です。
ただし、体質やアレルギーの有無によっては予防接種を受けられない方もいますので、医師とよく相談することをおすすめします。
予防接種について詳しく知りたい方は当院へお問い合わせください。
規則正しい生活を心がける
睡眠不足や栄養の偏り、運動不足などは免疫力を低下させてしまいます。
免疫力を向上させるためには、規則正しい生活習慣や適度な運動、栄養バランスの整った食事などが大切です。免疫力の向上を意識することで、帯状疱疹は予防できますので、日頃から規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
ストレスを溜めない
ストレスや疲労によっても帯状疱疹を発症することが多くあります。
ストレスが溜まると自律神経が乱れてストレスホルモンが増加してしまいます。ストレスホルモンの増加は免疫システムに悪影響を与え、免疫力の低下につながってしまうのです。
ストレスが溜まりやすい方は、適度な運動やストレッチ、入浴などでストレスを発散させるとよいでしょう。
紫外線対策をする
過度な紫外線は皮膚の免疫力が低下してしまうため、帯状疱疹を発症しやすい傾向にあります。
強い紫外線を受けやすい海水浴やプールなどのアウトドアでは、日焼け止めクリームを塗り紫外線から皮膚を守るようにしましょう。
また、紫外線対策は帯状疱疹だけでなくシミなどの他の皮膚疾患の予防にもなるため、季節問わず年中行ったほうがよいでしょう。
違和感を抱いたら早めに受診する
帯状疱疹は多くの場合、かゆみや皮膚の痛みなどの違和感から始まります。
早い段階で治療を受けていると重症化を防げますので、気になる違和感があれば早めに診察を受けましょう。
帯状疱疹の場合、重症化すると日常生活に支障をきたすような痛みが生じたり、肺炎を起こしたり、顔面神経麻痺になったりとさまざまなリスクを伴います。大変なことになる前に早めの治療が大切です。
帯状疱疹に関するよくある質問
以下に帯状疱疹に関するよくある質問をまとめています。
帯状疱疹でお悩みがある方はぜひご参考にしてください。
帯状疱疹はうつるの?
帯状疱疹そのものが移ることはありません。
帯状疱疹は、体内に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症する病気です。
ただし、水ぼうそうに罹ったことがない人に水痘・帯状疱疹ウイルスを移してしまうことはあります。帯状疱疹を発症したら、水ぼうそうになったことがない、あるいは予防接種を受けていない子どもに移さないよう気をつけましょう。
帯状疱疹ワクチンは自己負担なの?
2025年2月時点では、帯状疱疹ワクチンは保険が適用されず全額自己負担となっています。
しかし、一部の市町村で補助制度を利用できる場合もありますのでご確認ください。
また、令和6年12月の国の審議会で、令和7年4月1日〜予防接種法に基づく定期接種になる方針が了承されています。対象は65歳以上の5歳刻みの年齢の方となるようです。