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低身長が気になる子どもの「成長曲線」の見方ガイド

子どもの身長は、親として日々気になるポイントのひとつです。同じ年齢の子どもと比べて背が小さい、成長のペースがゆっくりな気がするなどの不安を抱えていませんか?
子どもの成長は個人差がありますが、平均的な成長の目安を知ることで、早めに対応が必要かどうかを判断できます。
子どもの成長を正しく知るために、成長曲線の見方や低身長のサイン、日常生活でできるサポート方法まで、わかりやすく解説します。

低身長と成長曲線の基礎知識

子どもの身長の伸びは、年齢ごとに少しずつ変化します。成長曲線を使えば、平均的な成長のペースと比べて子どもの発育がどの程度かを把握することが可能です。早めにチェックすることで、必要に応じて医療機関に相談する目安にもなります。

成長曲線とは?子どもの成長を見える化する重要な指標

成長曲線は、身長や体重の変化を年齢ごとにグラフ化したものです。成長曲線を見れば、子どもの発育が平均より下回っているか、あるいは順調に伸びているかを確認できます。特に低身長症では、顔つきや体格の特徴とあわせて成長曲線の位置をチェックすることが大切です。

出典:成長曲線描いてみましょう(厚生労働省)

成長曲線をアプリで簡単に自動計算

最近はスマートフォンで簡単に成長曲線を確認できる「成長曲線アプリ」も登場しています。
身長と体重を入力するだけで、自動でグラフ化され、標準偏差(SD)も計算されます。これにより、家庭でも子どもの成長の傾向を見やすく確認できます。医療機関に相談する際には、アプリで作成した成長曲線データを持参するとスムーズです。

低身長のサインと見逃しがちな症状

「うちの子は少し小さいかも…」と感じても、日常の中では見過ごしてしまいがちな低身長のサインがあります。まずは、成長曲線から平均身長と子どもの身長を照らし合わせてみてみましょう。そのうえで、身長だけでなく、顔つきや体型の特徴、成長のペースの変化にも目を向けることで、早めに低身長の兆候に気づくことができます。

成長曲線でみる低身長の定義と基準

日本小児内分泌学会によると、以下のような場合に医学的な低身長の可能性があります。これらに当てはまる場合は、早めに医師に相談することが推奨されています。

  • 同年齢・同性の平均身長と比べて −2SD(標準偏差)以下
  • 1年間での身長の伸びが 4cm未満
  • 成長曲線を描いたときに、身長曲線が下に逸れていく

出典:日本小児内分泌学会:低身長について

顔つきに現れる低身長症の特徴

一部の低身長症では、顔つきや体格に特徴が現れることがあります。例えば、成長ホルモン分泌不全性低身長症では、顔がやや丸みを帯び、肩幅が狭いなどの傾向があります。
「身長だけでなく顔つきや体型も気になる」と感じたら、早めに医師の評価を受けましょう。

低身長の原因とは?遺伝だけではない多様な要因

低身長の原因には、遺伝や家族性など体質的なものの他に、以下のような病気によるものなどさまざまです。低身長かどうかは成長曲線で判断し、原因を特定するには医師の診断が必要です。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • 甲状腺機能低下症
  • 染色体異常(ターナー症候群など)
  • 骨や内臓の病気
  • 栄養不足や心理社会的なストレスといった病気
  • SGA性低身長(小さく生まれた場合)

低身長の受診のタイミングと医療機関の選び方

我が子の成長が遅れているかもしれないと感じたとき、どのタイミングで小児成長外来を受診すべきか迷う親御さんも多いでしょう。低身長と判断される目安と医療機関の受診の流れを解説します。

成長曲線でみる受診の目安「成長の停滞」とは

成長曲線で受診を検討すべき目安は、以下のとおりです。

  • 身長が-2SD(SDは標準偏差)以下の場合
  • 成長速度が年間5cm未満
  • または成長曲線が横ばいになった場合
  • 本来伸びるはずの思春期時期に急に伸びが止まった
  • 急に伸びすぎたりする場合

成長曲線から判断して明らかに他の子より身長が低い場合や、思春期になっても伸びが少ない場合は、早めの相談が推奨されます。
これ以外にも、体重が身長に対して極端に多い、あるいは少ない場合にも受診を検討しましょう。

小児成長外来の役割と受診の流れ

小児成長外来は、低身長の原因を特定し、必要に応じて成長ホルモン治療やその他の疾患治療を行うことで、お子さんの成長をサポートする役割があります。検査を行い、低身長が病気によるものなのか、それとも成長ホルモンの分泌不足や他の内分泌疾患が原因なのかを診断し、的確な治療法を提案します。
小児成長外来では、血液検査や骨年齢の評価を通じて、低身長の原因を調べます。
受診時には、成長曲線アプリで作ったデータや家族歴、生活習慣の情報があると、診断や治療方針を決めやすくなります。

低身長の子どもの成長曲線に関するよくある質問

Q. 成長曲線は毎日つける必要がありますか?

成長曲線は毎日つける必要はありません。身長や体重の変化は1日や数日で大きく変わるものではなく、月単位での傾向を見て判断することが大切です。家庭で測定する際は、できるだけ同じ時間帯に、子どもが裸足で立てる安定した場所で測ると正確です。成長曲線アプリや紙のグラフに記録することで、長期的な伸びのペースを把握しやすくなり、小児成長外来に相談する際にも役立ちます。

Q. 顔つきに特徴がある場合も受診は必要ですか?

顔つきや体型の特徴も低身長症の診断の参考になります。たとえば、成長ホルモン分泌不全性低身長症では顔の丸みや肩幅の狭さが目立つことがあります。ただし、個人差が大きいため、顔つきだけで判断せず、成長曲線や身長の伸び方と合わせて総合的に評価することが大切です。少しでも気になる場合は、早めに小児成長外来に相談することで安心できます。

Q. 成長ホルモン治療はすぐに始めるべきですか?

成長ホルモン治療は、必ず医師の診断と判断に基づいて行われます。低身長の原因によって必要性や開始時期が異なるため、焦って自己判断で始めるべきではありません。まずは成長曲線のデータや検査結果をもとに医師が診断を行い、適切な治療計画を立てます。治療が必要な場合でも、子どもの年齢や発育状況に応じて最適なタイミングで開始されますので、まずは医師とよく相談してください。

まとめ

子どもの成長は、日々の身長や体重の数字だけではわかりにくいものです。成長曲線やアプリを活用して、長期的な傾向を確認することで、「今のペースで大丈夫かな?」という不安を少しずつ解消することができます。家庭での記録は診察時にも役立ちます。
低身長症のサインは身長だけでなく、顔つきや体型にも表れることがあります。気になる変化を感じたときは医師に相談することが安心につながります。早めの対応が、子どもにとっても親御さんにとっても大きな安心になります。
毎日の生活の中では、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動なども、成長を支える大切な要素です。数字だけでなく、子どもの元気や笑顔も成長の一部です。焦らず、日々の変化を見守りながら、必要なときには専門家のサポートを受けてください。