「生理をずらしたいけれど、ピルにはどんな種類があるのかわからない」「中用量ピルと低用量ピル、どちらを使うのが自分に合っているのか知りたい」と迷っていませんか。
月経移動に使われるピルは、大きく中用量ピルと低用量ピルの2種類です。予定までの日数、遅らせたいのか早めたいのか、普段からピルを飲んでいるかどうかによって、選ばれる種類と飲み方が変わります。
種類の違いを知らないまま「とりあえず薬をもらえばいい」と考えると、服用を始めるタイミングを逃して、計画どおりに移動できないことがあります。どの方法にも、開始できる期限があるためです。
この記事では、月経移動に使うピルの種類、中用量と低用量の違い、それぞれの飲み方、選ぶ際の考え方について解説します。
ご自身の予定と照らし合わせながら、どの方法が現実的かを確認していきましょう。
月経移動に使われるピルの種類
月経移動に用いられるピルは、含まれる女性ホルモンの量によって分類されます。
| 種類 | ホルモン量 | 主な用途 | 月経移動での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 中用量ピル | 多い | 月経移動、月経困難症など | 月経移動で最も一般的に使われる |
| 低用量ピル | 少ない | 避妊、月経困難症、月経不順など | 普段から服用している方の調整に使いやすい |
| 超低用量ピル | さらに少ない | 月経困難症、子宮内膜症など | 月経移動を主目的とすることは少ない |
当院では、中用量ピルによる月経移動を行っています。
ピルで生理をずらせる仕組み
自然な月経は、子宮内膜を厚く保っていた女性ホルモンの分泌が減ることで、内膜が剥がれ落ちて起こります。
ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を外から補う薬です。服用を続けている間は、ホルモンの量が高く保たれるため、子宮内膜は剥がれずに維持されます。そして、服用をやめてホルモンが下がると、2〜3日後に出血が起こります。
つまり、「いつ服用をやめるか」で出血のタイミングを調整しているというのが、月経移動の基本的な考え方です。
予定日を過ぎても服用を続ければ出血は起こりませんが、遅らせられる期間には限りがあります。この点は後述します。
中用量ピルの特徴
中用量ピルは、低用量ピルよりもホルモン量が多いピルです。代表的なものとして、プラノバール配合錠などが挙げられます。
中用量ピルが月経移動に使われる理由
- ホルモン量が多く、子宮内膜を維持する働きが安定しやすいとされている
- 遅らせる場合、予定日の5〜7日前から始められるため、比較的直前の相談でも間に合いやすい
- 早める場合にも使えるため、遅らせる・早めるの両方に対応できる
予定が近づいてから相談する方が多いという実情に対して、中用量ピルは対応できる幅が広いという利点があります。
中用量ピルの注意点
ホルモン量が多いぶん、吐き気や胃のむかつき、頭痛といった副作用を感じる方が一定数います。
- 吐き気は飲み始めに出やすく、数日で慣れてくることが多い
- 就寝前や食後に服用することで軽減を図れる場合がある
- 吐き気止めを併用できる場合もあるため、心配な方は事前に医師へご相談ください
また、低用量ピルと同様に、まれに血栓症のリスクがあります。ふくらはぎの痛みや腫れ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛などが現れた場合は、服用を中止して速やかに受診してください。
低用量ピルの特徴
低用量ピルは、避妊や月経困難症の治療として、継続的に服用することを想定した薬です。代表的なものとして、マーベロン、ファボワールなどの名称を目にすることがあります。
低用量ピルで月経移動を行う場合
低用量ピルを月経移動に用いる場合、大きく2つのパターンがあります。
- すでに低用量ピルを継続服用している方が、休薬のタイミングをずらす
- 月経移動のために、前の周期から低用量ピルを飲み始める
前者は、普段の服用の延長線上で調整できるため、体への負担も予定管理もシンプルです。一方、後者は前の周期から準備が必要なため、予定の1か月以上前から計画する必要があります。
低用量ピルの注意点
- ホルモン量が少ないぶん、中用量ピルより副作用は出にくいとされている
- ただし、直前の相談では間に合わないことが多い
- 不正出血が起こりやすい場合がある
継続的な服用には、避妊や月経困難症の改善といった別の目的も伴います。月経移動のためだけに始めるかどうかは、ご自身の生活や希望を踏まえて医師とご相談ください。
中用量ピルと低用量ピルの違い
2種類の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 中用量ピル | 低用量ピル |
|---|---|---|
| ホルモン量 | 多い | 少ない |
| 主な目的 | 月経移動 | 避妊・月経困難症などの継続服用 |
| 遅らせる場合の開始時期 | 予定日の5〜7日前 | 継続服用中の方は休薬をずらす |
| 早める場合の開始時期 | 前の月経開始から3日以内 | 前の周期から服用 |
| 直前の相談 | 比較的間に合いやすい | 間に合わないことが多い |
| 副作用の出やすさ | 吐き気などを感じる方が一定数いる | 比較的出にくいとされている |
| 服用期間 | 数日〜2週間程度 | 継続的 |
「今回の予定に間に合わせたい」という状況では中用量ピル、「今後も定期的に周期を整えたい」という希望があれば低用量ピルの継続服用、という整理が一つの目安になります。
生理を遅らせる場合のピルの飲み方
遅らせたい月経の予定日の5〜7日前から、中用量ピルの服用を開始します。
- 1日1錠を、毎日ほぼ同じ時間に服用する
- 出血を避けたい期間が終わるまで、服用を続ける
- 服用をやめると、2〜3日後に出血が始まる
遅らせられる期間の目安
通常は7日程度、長くても10日程度が目安とされています。
それ以上引き延ばそうとすると、服用中に不正出血が起こる可能性が高まります。14日を超える移動を試みる場合には、途中で出血が始まったり、服用終了後に月経が予定どおり来なかったりすることがあるとされています。
服用中に出血が始まった場合は、速やかに服用を中止して医師にご相談ください。
遅らせる方法が向いているケース
- 次回の月経予定日がはっきりわかっている
- 予定まで1週間程度の余裕がある
- 避けたい期間が1週間以内に収まる
逆に、月経予定日が不確かな場合、服用を始めるタイミングが定まらず、計画どおりに進まないことがあります。普段から周期を記録しておくことが役立ちます。
生理を早める場合のピルの飲み方
ずらしたい月経の一つ前の月経が始まってから3日以内に服用を開始し、10〜14日間続けて服用します。服用をやめると、2〜3日後に出血が始まります。
- 服用開始が「前の月経開始から3日以内」という点が最大のポイント
- 1日1錠を毎日ほぼ同じ時間に服用する
- 予定の日までに出血を終わらせるよう、逆算して服用期間を決める
早める方法が向いているケース
- 予定まで1か月以上の余裕がある
- 予定当日だけでなく、その前後も含めて出血を避けたい
- 旅行や試験など、期間が長いイベントを控えている
早める方法は、予定の当日には月経が完全に終わっている状態をつくりやすいという利点があります。ただし、前の周期から準備が必要なため、早い段階での相談が前提になります。
すでに始まっている月経は移動できません
現在進行中の月経を止めて移動させることはできません。次回以降の月経が対象となります。この点は誤解が生じやすいため、注意してください。
すでに低用量ピルを服用している場合
避妊や月経困難症の治療として低用量ピルを継続服用している方は、休薬期間(またはプラセボ錠の期間)をずらすことで移動できる場合があります。
- 休薬に入らず、実薬を続けて服用することで出血を遅らせる
- 休薬を早めに設けることで出血を早める
ただし、シートの種類(21錠・28錠)や、薬剤の種類によって調整方法が異なります。自己判断で飲み方を変えると、避妊効果に影響したり不正出血が起きたりすることがあるため、必ず処方を受けている医療機関にご相談ください。
なお、低用量ピルを正しく継続服用している場合、月経移動のために調整を行っても避妊効果は保たれるとされています。一方、月経移動を目的として短期間だけピルを服用する場合には、避妊効果は期待できません。この違いは重要です。
ピルの種類を選ぶ際の考え方
どの方法が現実的かは、予定までの残り日数でおおよそ決まります。
| 予定までの日数 | 選択肢 |
|---|---|
| 1か月以上 | 早める方法・遅らせる方法のどちらも選べる |
| 2週間程度 | 遅らせる方法が中心。中用量ピルで対応 |
| 1週間程度 | 遅らせる方法が間に合う可能性がある(予定日の5〜7日前から開始) |
| 数日 | 間に合わないことが多い。早めの相談が必要 |
「まだ先だから」と後回しにすると、選べる方法が減っていきます。予定が決まった段階での相談が、最も確実です。
服用にあたって確認しておきたいこと
処方の可否を判断するために、次の情報が必要になります。
- 直近の月経開始日と、普段の周期日数
- 出血を避けたい期間(いつからいつまで)
- 持病、既往歴、家族の血栓症の有無
- 服用中の薬、サプリメント
- 喫煙の有無と本数
- 妊娠の可能性の有無
喫煙習慣、40歳以上、BMI30以上、血栓症の既往といった条件がある場合は、血栓症のリスクを踏まえて慎重に判断します。診察の結果、処方をお断りする場合もあります。
当院の月経移動と費用
東京センタークリニックは、日本橋駅から近い内科・皮膚科などの診療を行うクリニックで、月経移動のご相談にも対応しています。当院では中用量ピルによる月経移動を行っています。
費用は、診察料とお薬代を含めて4,500円(税込)です。診察の結果、医師が処方できないと判断した場合は、診察料として2,000円(税込)をご負担いただきます。
まとめ
月経移動に使うピルの種類について、押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 月経移動に使われるのは、中用量ピルと低用量ピルの2種類
- 中用量ピルは、遅らせる場合も早める場合も使え、直前の相談でも間に合いやすい
- 低用量ピルは、すでに継続服用している方の調整に向いている
- 遅らせる場合は予定日の5〜7日前から、早める場合は前の月経開始から3日以内に服用を開始する
- 遅らせられるのは7日程度、長くても10日程度が目安
- すでに始まっている月経を止めて移動させることはできない
- 月経移動を目的とした短期間の服用では、避妊効果は期待できない
予定までの日数によって、選べる方法が変わります。大切な予定を安心して迎えるために、日程が決まった段階で早めに医療機関へご相談ください。
月経移動のピルの種類についてよくある質問
月経移動には中用量ピルと低用量ピルのどちらが使われますか?
月経移動では中用量ピルが一般的に使われます。ホルモン量が多く、遅らせる場合は予定日の5〜7日前から始められるため、直前の相談にも対応しやすいという理由があります。低用量ピルは、すでに継続服用している方が休薬のタイミングをずらす形で使うことが中心です。当院では中用量ピルによる月経移動を行っています。
中用量ピルと低用量ピルでは副作用に違いがありますか?
中用量ピルはホルモン量が多いぶん、吐き気や胃のむかつき、頭痛を感じる方が一定数います。低用量ピルは比較的副作用が出にくいとされています。ただし、いずれもまれに血栓症のリスクがある点は共通です。ふくらはぎの痛みや息切れ、胸痛、激しい頭痛が現れた場合は、服用を中止して受診してください。
予定の何日前までに受診すればよいですか?
遅らせる場合は、予定日の5〜7日前から服用を開始するため、遅くともその数日前までの受診が必要です。早める場合は、前の月経が始まってから3日以内に服用を開始するため、予定の1か月以上前からの準備が求められます。余裕をもって受診いただくほど、選べる方法が増えます。
生理を早めるのと遅らせるのは、どちらがよいですか?
予定に余裕がある場合は、早める方法のほうが、予定当日には月経が完全に終わっている状態をつくりやすいという利点があります。一方、予定が近い場合は、遅らせる方法しか選べないことが多いです。どちらが適しているかは、予定までの日数と周期の状況によって異なるため、医師にご相談ください。
今飲んでいる低用量ピルで自分で調整してもよいですか?
自己判断で飲み方を変えることは避けてください。シートの種類や薬剤によって調整方法が異なり、避妊効果に影響したり不正出血が起きたりすることがあります。処方を受けている医療機関にご相談ください。
月経移動のピルはどのくらいの期間飲みますか?
遅らせる場合は、出血を避けたい期間が終わるまでで、通常は数日から1週間程度です。早める場合は、10〜14日間の服用が目安となります。いずれも、予定と周期に合わせて服用期間を決めます。
月経移動用のピルは市販されていますか?
市販されていません。月経移動に使うピルは、医師の処方が必要な薬です。個人輸入した薬は、成分や品質が確認できず、副作用が生じた際の対応も難しくなるため、使用は避けてください。