薬を飲んでもじんましんが何日も続く、消えたと思ったらまた出てくる、と悩んでいませんか。
発症から6週間以上続く蕁麻疹は慢性蕁麻疹と呼ばれ、原因がはっきりしないことが多い一方で、薬を続けながら症状が出ない状態を目指していく病気です。
自己判断で薬をやめたり、市販薬だけで様子を見続けたりすると、症状を繰り返したり、ほかの病気のサインを見逃したりするおそれがあります。
この記事では、蕁麻疹が長引く理由、慢性蕁麻疹の治療の考え方、日常生活で見直したいこと、受診の目安を解説します。
焦らず症状と向き合うための手がかりにしてください。
蕁麻疹が治らないときにまず確認したいこと
「いつまで続くのだろう」と不安になったときは、まず症状が始まってからどのくらい経っているかと、発疹の出方を確認してみてください。
同じ「治らない」でも、発症からの期間によって考え方が変わります。
加えて、発疹の特徴によっては、蕁麻疹とは別の皮膚の病気が隠れていることもあります。
急性と慢性の違いは発症から6週間が目安
蕁麻疹は、症状が続いている期間によって大きく2つに分けられます。
| 区分 | 続く期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 急性蕁麻疹 | 発症から6週間以内 | 感染症や食べ物、薬などきっかけが見つかることがある |
| 慢性蕁麻疹 | 発症から6週間以上 | 毎日のように出たり消えたりを繰り返し、原因がはっきりしないことが多い |
急性の場合は、数日から数週間のうちに落ち着いていくことが多いとされています。
一方で、6週間を超えて症状が続いている場合は慢性蕁麻疹として、腰を据えた治療を考える段階です。
「なかなか治らない」と感じている方の多くは、この慢性蕁麻疹に当てはまる可能性があります。
一つひとつの膨疹が消えるまでの時間
蕁麻疹では、皮膚の一部が赤く盛り上がる膨疹(ぼうしん)が出て、強いかゆみを伴います。
膨疹は、通常は数十分から数時間、長くても1日以内に跡を残さず消え、別の場所に新たに出てくるのが特徴です。
そのため、全体としては何日も続いていても、一つひとつの発疹は短時間で入れ替わっています。
反対に、次のような場合は蕁麻疹以外の病気の可能性も考えられます。
- 同じ場所の発疹が24時間以上消えない
- 発疹が消えた後に茶色っぽい跡(色素沈着)が残る
- かゆみよりも痛みやヒリヒリ感が強い
- 発熱や関節の痛みを伴う
湿疹や血管の炎症など、治療の方針が異なる病気が隠れていることもあるため、当てはまる場合は診察で確認してもらいましょう。
蕁麻疹が長引く・繰り返す主な理由
「何が悪いのか分からない」という戸惑いは、蕁麻疹が長引いている方の多くが抱える悩みです。
実は、蕁麻疹が長引く理由は1つとは限らず、いくつかの要因が重なっていることも少なくありません。
ここでは、代表的な理由を順に見ていきます。
原因がはっきりしない特発性の蕁麻疹が多い
蕁麻疹の多く(報告によって6〜7割程度)は、原因を特定できない「特発性」のタイプとされています。
とくに慢性蕁麻疹では、食べ物や薬など外からの原因が見つからないことが多いとされています。
近年は、体の免疫の働き(自己免疫)が皮膚の細胞(マスト細胞)を刺激し、ヒスタミンが放出されやすい状態になっていることが関係するケースもあると考えられています。
つまり、原因が見つからないのは珍しいことではなく、あなたの生活に大きな問題があるとは限りません。
そのため慢性蕁麻疹の治療では、原因探しにこだわりすぎず、症状をコントロールすることが中心になります。
きっかけとなる刺激を繰り返している
原因そのものとは別に、症状を出しやすくする「きっかけ」があります。
次のような刺激を、気づかないうちに毎日繰り返していることがあります。
- ベルトや下着のゴム、バッグの肩ひもによる圧迫やこすれ
- 暖房の効いた部屋と屋外の行き来などの温度差
- 運動や入浴で汗をかくこと
- かゆい部分をかいてしまうこと
とくに、かくことで皮膚が刺激され、さらに膨疹が広がるという悪循環に陥りやすくなります。
症状が出やすい場面に共通点がないか、振り返ってみることも大切です。
薬を自己判断でやめている・十分に使えていない
蕁麻疹が繰り返す理由として見落とされやすいのが、薬の使い方です。
- 症状が消えたので、すぐに飲むのをやめた
- 発疹が出たときだけ飲んでいる
- 眠気が気になり、指示より少なく飲んでいる
こうした使い方では、薬の効果が安定せず、症状がぶり返しやすくなります。
慢性蕁麻疹では、症状が出ていないときも毎日続けて飲み、出ない状態を保つことが基本とされています。
飲み方に不安がある場合は、自己判断で調整せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
疲労や睡眠不足、ストレスが重なっている
疲れがたまっているときや、睡眠不足が続いているときに症状が強くなる、と感じる方は少なくありません。
疲労や睡眠不足、精神的なストレスは、蕁麻疹を悪化させる要因の一つとされています。
これらが直接の原因ではなくても、症状が出やすい状態をつくってしまうことがあります。
仕事や家庭の忙しさが続いている時期は、意識して休息をとることも治療の一部と考えてみてください。
ほかの病気が隠れていることもある
頻度は高くありませんが、蕁麻疹の背景にほかの病気が関係していることがあります。
たとえば、橋本病などの甲状腺の病気や、胃のピロリ菌などの感染症が関係しているケースが報告されています。
ただし、繰り返す蕁麻疹の多くは、特定の病気がない特発性のものです。
必要以上に心配する必要はありませんが、発熱や体重の変化、だるさなど皮膚以外の症状があるときは、診察で相談することが大切です。
治らない蕁麻疹の診察と検査
「検査をすれば原因が分かるはず」と考えて受診する方も多いかもしれません。
しかし、慢性蕁麻疹では検査をしても原因が見つからないことが多いのが実情です。
検査の役割を知っておくと、診察での説明も受け止めやすくなります。
検査で原因が見つからないことも多い
慢性の特発性蕁麻疹では、すべての方に一律の検査を行うのではなく、問診や症状の経過から必要に応じて検査が検討されます。
たとえば、ほかの病気が疑われる場合には、血液検査で炎症の程度や甲状腺の働きなどを確認することがあります。
一方で、アレルギー検査は、特定の食べ物を食べた後に症状が出るなど、はっきりしたきっかけがある場合に参考になる検査です。
原因のない慢性蕁麻疹では、アレルギー検査で手がかりが得られるとは限りません。
なお、検査で異常がないことは「放っておいてよい」という意味ではありません。 症状に合わせた治療を続けることが大切です。
受診前にまとめておきたい症状の記録
蕁麻疹は、受診したときには発疹が消えていることがよくあります。
そのため、日ごろの様子を記録しておくと、診察で役立ちます。
- 症状が出た時間帯と、出た部位
- 一つの発疹がどのくらいの時間で消えたか
- 直前の行動(食事、運動、入浴、薬の服用など)
- 現在飲んでいる薬と、実際の飲み方
- 発疹が出たときのスマートフォンの写真
とくに写真は、発疹の形や広がりを医師が確認する手がかりになります。
慢性蕁麻疹の治療の考え方
「この先ずっと薬を飲み続けるのだろうか」と不安を抱えながら通院している方もいます。
慢性蕁麻疹の治療は、まず薬で症状が出ない状態を目指し、その状態を保ちながら少しずつ薬を減らしていくという流れで進められます。
見通しを知っておくことで、治療を続けやすくなります。
抗ヒスタミン薬を続けて症状をコントロールする
慢性蕁麻疹の治療の基本は、かゆみや膨疹の原因となるヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬を、毎日続けて飲むことです。
症状が出てから飲むのではなく、症状が出ないように先回りして飲み続けるという考え方になります。
飲み始めてすぐに効果を実感できる方もいれば、しばらく続けることで症状が落ち着いてくる方もいます。
数日で効かないと判断せず、指示された期間は続けたうえで、効き目について医師に伝えることが大切です。
効果が不十分なときに医師が検討すること
抗ヒスタミン薬を続けても症状が十分に抑えられない場合、医師の判断で治療が段階的に調整されます。
- 薬の量を調整する
- 別の抗ヒスタミン薬に変更する
- 作用の異なる薬を追加する
こうした調整は、症状の程度や副作用、ほかに飲んでいる薬などをふまえて行われます。
「効かないから」と自己判断で量を増やしたり、市販薬を重ねて飲んだりすることは避けてください。 眠気などの副作用が強く出るおそれがあります。
さらに、これらの治療でも十分な効果が得られない場合は、専門医療機関で注射薬(生物学的製剤)などの治療が検討されることがあります。
こうした治療には使える条件があるため、必要に応じて医師から専門の医療機関を紹介されることがあります。
薬を減らしていくタイミング
薬を減らすのは、症状が出ない状態がしばらく続いてからが一般的です。
その後、医師と相談しながら、飲む量や回数を少しずつ減らしていきます。
途中で症状がぶり返した場合は、いったん元の量に戻して様子を見ることもあります。
慢性蕁麻疹は長く続くことがある一方で、時間の経過とともに症状が落ち着いていく方も少なくないとされています。
最終的には薬を使わなくても症状が出ない状態を目指し、焦らず治療を続けていきましょう。
蕁麻疹を長引かせないために日常生活で見直したいこと
薬による治療と合わせて、日常生活のちょっとした工夫も大切です。
悪化のきっかけを減らすことで、症状が出にくい状態を保ちやすくなります。
ここで紹介するのは、あくまで悪化を防ぐための工夫であり、効果には個人差があります。
肌への刺激と体の温めすぎを避ける
体が温まったり、皮膚がこすれたりすると、かゆみや膨疹が出やすくなります。
- 締め付けの少ない、肌ざわりのよい衣類を選ぶ
- 体を洗うときは、ナイロンタオルなどで強くこすらない
- 熱いお風呂や長風呂を避け、ぬるめのお湯にする
- かゆい部分はかかずに冷やす
かゆみが強いときは、保冷剤をタオルで包んで当てると、かきむしりを防ぎやすくなります。
飲酒や生活リズム、市販薬の使い方を見直す
生活習慣の中にも、症状を悪化させる要因があります。
- 飲酒は血管を広げ、かゆみを強めることがあるため控えめにする
- 睡眠時間を確保し、疲れをためこまない
- 香辛料の多い食事など、体が熱くなりやすいものは様子を見ながらとる
また、一部の解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、蕁麻疹を悪化させることがあるとされています。
頭痛や生理痛などで市販の痛み止めを使っている方は、受診時に医師や薬剤師へ伝えてください。
治らない蕁麻疹で受診・再受診を考える目安
長く付き合っていると、「いつものことだから」と受診を先延ばしにしがちです。
しかし、蕁麻疹の中には急いで対応が必要な症状が含まれていることがあります。
受診の目安を知っておくと、いざというときに迷わず行動できます。
すぐに医療機関を受診したい危険なサイン
次のような症状は、アナフィラキシーなど全身に及ぶ重いアレルギー反応や、気道の腫れにつながるおそれがあります。
- 息苦しさ、ゼーゼーする呼吸
- 唇やまぶた、顔の腫れ
- のどの違和感、飲み込みにくさ
- 腹痛や嘔吐
- ふらつき、意識がぼんやりする
これらの症状がある場合は、救急要請も含めて速やかに医療機関を受診してください。
唇やまぶたが腫れる症状は血管性浮腫と呼ばれ、蕁麻疹と一緒に出ることがあります。のどに及ぶと呼吸に影響するため、注意が必要です。
通院中でも再受診したほうがよいケース
すでに治療を受けている方でも、次のような場合は早めに再受診を検討しましょう。
- 処方された薬を指示どおり続けても症状が治まらない
- 眠気などの副作用で、薬を続けるのがつらい
- 発熱や関節の痛みなど、皮膚以外の症状が出てきた
- 同じ場所の発疹が長く残る、跡が残る
- 市販薬で様子を見ているが、6週間近く症状が続いている
効き目や副作用について率直に伝えることで、薬の調整につながります。
東京センタークリニックは、日本橋駅から近い内科・皮膚科などの診療を行うクリニックで、蕁麻疹の相談にも対応しています。
まとめ
蕁麻疹が治らないときのポイントは、次のとおりです。
- 発症から6週間以上続く場合は慢性蕁麻疹と考え、腰を据えた治療を検討する
- 一つの発疹が24時間以上消えない、跡が残る場合は別の病気の可能性もある
- 蕁麻疹の多くは原因を特定できない特発性とされ、原因が見つからないことは珍しくない
- 長引く背景には、刺激の繰り返し、薬の自己中断、疲労やストレスなどが重なっていることがある
- 治療は抗ヒスタミン薬を毎日続けて症状をコントロールするのが基本で、効果が不十分なら医師が薬を調整する
- 息苦しさや唇・まぶたの腫れがあるときは、すぐに医療機関を受診する
症状の記録や写真を手元にそろえて、医療機関に相談してみてください。焦らず治療を続けながら、薬を使わなくても症状が出ない状態を目指していきましょう。