ヘルペスは小さな子どもから大人まで罹る可能性がある病気です。ヘルペスを頻繁に発症し、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。ヘルペスを発症した場合、適切な処置をしなければ痕が残ってしまうこともあります。
本記事では、ヘルペスの原因と治療法について詳しく解説しています。ヘルペスを予防する方法も説明していますので、ヘルペスでお悩みの方はぜひご参考にしてください。
ヘルペスとは
ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスが原因で引き起こされる感染症です。水疱や痛みを伴います。症状や発症部位によって「帯状疱疹」「口唇ヘルペス」「性器ヘルペス」と呼ばれています。一度感染すると、体内に潜伏して再発を繰り返す病気ですので、原因から治療法、予防法までを正しく理解しておきましょう。
ヘルペスの原因
ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスが皮膚に付着して感染することです。直接肌に触れなくてもウイルスが付着したタオルや食器を使用することで感染することもあります。
単純ヘルペスウイルスにはヘルペスウイルス1型とヘルペスウイルス2型があります。1型は主に口から口への接触や、唾液を介しての接触によって感染する口唇ヘルペスです。1型は性器にも感染して性器ヘルペスを引き起こすこともあります。
一方で、2型は主に性行為による皮膚の接触や体液を介しての接触によって、性器粘膜や肛門などに感染します。
そして、ヘルペスとよく似ているのが帯状疱疹です。帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染です。ヘルペスと同じヘルペスウイルス科に属しているため、よく似た特徴があります。ただし、帯状疱疹の場合は人から人に直接感染することはありませんが、水痘に罹患したことがない人に水痘・帯状疱疹ウイルスを移してしまうことはあります。
帯状疱疹については以下で詳しく解説していますので、気になる方は以下をご参考にしてください。
帯状疱疹について詳しく知りたい方はこちら
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスはヘルペスウイルス1型によって感染します。
唇や口周りに痛みを伴う小さな水疱ができたり、赤くなってヒリヒリしたりするなどの症状が現れます。
発症から10日程度で治ることがほとんどです。
健康な方でも、疲れやストレスが溜まっている時に免疫力が低下して再発しやすいため、注意が必要です。
キスなどの直接な接触がなくても、ウイルスに汚染されたコップやお皿を共有するなどで感染することは多くあります。そのため、接触の機会が多い家族間で感染しやすいといえます。
性器ヘルペス
性器ヘルペスはヘルペスウイルス1型または2型によって感染します。
陰部や周辺に違和感を抱いたり、痛みを伴う赤みや水疱などが生じたりします。
初めて感染した際は強い症状が出る傾向にあり、女性のほうが症状が重く、入院が必要になることもあります。
再発時は軽症で無症状の方も多く、再発していることに気付かない方も少なくありません。
ヘルペスの治療法
口唇ヘルペスと性器ヘルペスとでは治療方法が異なります。
自己判断で放置すると悪化してしまうことがあるため、早めに治療を受けたほうがよいでしょう。
また、適切な対処法を知っていれば、再発の予防にもなります。
ここでは、口唇ヘルペスと性器ヘルペスの治療法をそれぞれ解説しますので、気になる症状がある方は早い段階で治療に取り組みましょう。
口唇ヘルペスの治療法
一般的な治療法は、アシクロビルやファムシクロビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬を5日間服用します。これらの抗ウイルス薬はウイルスの増加を抑える働きがあるため、症状が出始めたら早めに治療を受けることをおすすめします。発症から時間が経過していると十分な効果を期待できません。
また、再発時もはっきりとした症状が出る前に診察を受けるようにしましょう。炎症が出る前であっても、抗ウイルス薬の服用でウイルスの増殖を抑えておくと炎症が拡大せずに済みます。
性器ヘルペスの治療法
一般的な治療法は、アシクロビルやファムシクロビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬を5〜10日間服用します。ただし、高熱が出たり、歩行困難になったりと重度の症状がある場合は点滴治療を行います。症状によっては入院して治療を行うこともあります。
症状が出始めたら早めに抗ウイルス薬を服用することで症状を緩和し、治癒期間を短縮できるため、放置せずに早めに診察を受けてください。
ヘルペスの再発を防ぐために
ヘルペスは再発を繰り返す病気です。
そのため、一度感染するとコントールしてうまく付き合っていかなければなりません。
ヘルペスは免疫力が低下している時に再発しやすいため、予防するには心身ともに健康な状態をキープするとよいでしょう。
具体的に以下で再発を防ぐポイントを紹介しています。
ヘルペスは完治しない
ヘルペスウイルスに一度感染すると、死滅させることはできません。そのため、神経内でヘルペスウイルスが潜伏して発症を繰り返す可能性があります。
ヘルペスは完治はしませんが、発症を予防することは可能です。
ヘルペスの発症を予防する主な方法は以下の4つです。
- 規則正しい生活を心がける
- ストレスを溜めない
- 紫外線対策をする
- 違和感を感じたら早めに受診する
それぞれを詳しく解説します。
規則正しい生活を心がける
ヘルペスウイルスの活動は免疫機能によって抑えることができます。そのため、体が健康な状態であれば免疫機能が活発になりヘルペスの再発を防げるということです。
免疫力が低下しないようにするためにも、栄養バランスの整った食事を心がけ、十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送るようにしましょう。
ストレスを溜めない
ストレスや疲労によってもヘルペスが再発することが多くあります。
ストレスが溜まると自律神経が乱れてストレスホルモンが増加してしまいます。ストレスホルモンの増加は免疫システムに悪影響を与え、免疫力の低下につながるのです。
ストレスが溜まりやすい方は、適度な運動やストレッチ、入浴などでリラックスし、ストレスを発散させるとよいでしょう。
頑張りすぎないことも大切です。
紫外線対策をする
紫外線を浴びていると皮膚の免疫力が低下してしまうため、ヘルペスを発症しやすい傾向にあります。海水浴などのアウトドアで強い紫外線を浴びる場合は、日焼け止めクリームを塗り紫外線対策を行いましょう。
また、紫外線対策はヘルペスだけでなくシミなどの他の皮膚疾患の予防にもなるため、季節問わず年中行ったほうがよいでしょう。
違和感を感じたら早めに受診する
はっきりとした痛みを感じなくても、ピリピリするなどの違和感があればヘルペスの再発の可能性があるため、早めに受診しましょう。
早めに治療を受けると、重症化を防ぎ軽症で済むケースが多くあります。
ヘルペスに関するよくある質問
以下にヘルペスに関するよくある質問をまとめています。
ヘルペスのことで気になることがありましたら、以下を参照にしてください。
ヘルペスはうつる?
ヘルペスは移る病気です。
ウイルスに汚染されたタオルなどの使用、キス、性行為、飛沫感染などで移る可能性があります。
ヘルペスは市販薬でも治せるの?
ヘルペスは市販薬でも症状を改善できます。
ただし、これまでヘルペスという診断を受けたことがない場合は一度病院を受診し、診断を受けたほうがよいでしょう。
ご自身ではヘルペスだと思っていても違う病気である可能性もあります。自己判断で市販薬を使用し、症状が悪化する恐れもありますので、診断を受けてから適切な治療をすることをおすすめします。
ヘルペスは症状がでていなくてもうつりますか?
ヘルペスは無症状であっても人に移ったり、人から移される可能性があります。
症状がある時のほうが感染力は強いですが、症状が出ていなくてもウイルスが排出され感染力を持っているからです。
また、感染しても無症状であることも多いため、ヘルペスウイルスに感染していることに気づいていない方も多くいらっしゃいます。
性器ヘルペスはどのクリニックで診てもらえばいいの?
性器ヘルペスは皮膚科や婦人科、泌尿器科、性病科などで診察を受けるとよいでしょう。どこで診察を受けても、基本的に処方される治療薬は同じです。受診しやすいクリニックで治療を受けるとよいでしょう。
当院も性器ヘルペスの治療に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。