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予防接種・ワクチン

予防接種は、ワクチンを接種することで感染症に対する免疫をあらかじめつくり、発症や重症化を防ぐことを目的とした医療行為です。感染症にかかってから治療する対症的な医療とは異なり、かかる前に備える予防医療にあたります。

ワクチンで防げる感染症のなかには、インフルエンザや帯状疱疹のように、発症すると仕事や生活が長期間止まってしまうもの、肺炎球菌感染症のように高齢の方や基礎疾患のある方で重症化しやすいものが含まれます。また、麻疹や風疹のように、本人だけでなく周囲の人や胎児にまで影響が及ぶ感染症もあります。

当院では、インフルエンザ・帯状疱疹・肺炎球菌・麻疹風疹(MR)・水痘・ムンプス・新型コロナウイルスの各ワクチンを取り扱っています。あわせて、接種の要否を判断するための抗体検査にも対応しています。

予防接種とは

予防接種は、病原体の毒性を弱めたもの、または病原体の一部を成分としたワクチンを体内に入れ、免疫のしくみを働かせて抗体をつくる方法です。実際にその病原体に接触したときに、発症を防いだり、症状を軽く抑えたりする働きが期待されます。

ワクチンによって効果の現れ方や持続期間は異なります。1回の接種で長期間の免疫が期待できるものもあれば、インフルエンザのように毎年の接種が推奨されるものもあります。

定期接種と任意接種の違い

予防接種は、予防接種法に基づく定期接種と、希望する方が受ける任意接種に分かれます。

区分内容費用の扱い
定期接種予防接種法で対象年齢・対象者が定められている接種自治体の公費負担があり、無料または一部自己負担
任意接種対象年齢を外れた方や、定期接種の枠にない目的での接種全額自己負担(自費診療)

同じワクチンでも、年齢や条件によって定期接種になる場合と任意接種になる場合があります。たとえば帯状疱疹ワクチンは、その年度に65歳になる方などは定期接種の対象ですが、50代で希望される方は任意接種となります。

日本橋を含む中央区にお住まいの方は、区が実施する定期接種や費用助成の対象となる場合があります。対象者や自己負担額は年度ごとに変わるため、接種を検討する段階で中央区の案内をご確認ください

ワクチンの種類

ワクチンは、製造方法によって大きく次のように分類されます。

  • 生ワクチン:病原体の毒性を弱めて用いるもの。麻疹風疹混合(MR)、水痘、ムンプスなど
  • 不活化ワクチン:病原体の感染力をなくした成分を用いるもの。インフルエンザ、肺炎球菌など
  • 組換えタンパクワクチン:病原体の一部のタンパク質を人工的につくって用いるもの。帯状疱疹のシングリックスなど
  • mRNAワクチン:ウイルスのタンパク質の設計図を投与し、体内で抗原をつくらせるもの。新型コロナウイルスワクチンなど

生ワクチンは、接種後に一定の間隔を空けないと次の生ワクチンを接種できないという決まりがあります。複数のワクチンを予定している場合は、接種の順番と間隔を事前に整理しておくことが大切です。

当院で受けられる予防接種と費用

当院で取り扱っている予防接種と費用は次のとおりです。いずれも自費診療となります。

ワクチン主な対象接種回数費用(税込)
インフルエンザ生後6か月以上年1回(13歳未満は2回)3,800円
インフルエンザ(当院で2回目)13歳未満など2回接種の方2回目3,000円
インフルエンザ(診察のみ)医師の判断で接種できなかった場合1,500円
MR混合(麻疹+風疹)抗体が不十分な方1〜2回10,000円
麻疹単独(はしか)麻疹の抗体が不十分な方1〜2回7,000円
風疹単独(三日はしか)風疹の抗体が不十分な方1〜2回7,000円
水痘(水ぼうそう)水痘の抗体が不十分な方1〜2回8,000円
ムンプス(おたふくかぜ)ムンプスの抗体が不十分な方1〜2回7,000円
帯状疱疹(シングリックス筋注)50歳以上の方など2か月間隔で2回1回22,000円(2回で44,000円)
肺炎球菌(ニューモバックス)65歳以上の方、基礎疾患のある方など原則1回(再接種は5年以上空ける)8,800円
新型コロナウイルス(コミナティ)成人(対象年齢は事前にご確認ください)1回16,500円

※上記は2026年7月1日現在の料金です。
ワクチンは取り寄せとなるため、接種をご希望の際は事前にお問い合わせ・ご予約をお願いいたします。
※初診・再診料(1,000〜3,000円)が別途かかる場合があります。

抗体検査もあわせて対応しています

過去に接種したかどうか記録が残っていない」「かかったかどうか覚えていない」という場合は、先に抗体検査で免疫の有無を確認してから接種を判断する方法があります。

検査項目費用(税込)
麻疹(はしか)抗体2,500円
風疹(三日はしか)抗体2,500円
水痘(水ぼうそう)抗体2,500円
ムンプス(おたふくかぜ)抗体2,500円

十分な抗体があると確認できれば、接種を見送るという判断も可能です。就職や進学、実習前に抗体価の証明を求められるケースでも活用できます。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発病の可能性を減らすことと、重症化を防ぐことを目的とした不活化ワクチンです。

インフルエンザは、38℃以上の発熱や頭痛、関節痛、全身倦怠感が急に現れることが特徴で、気管支炎や肺炎、小児では中耳炎や熱性けいれん、脳症といった合併症を伴うことがあります。

接種の時期と回数

例年、インフルエンザは12月初旬から流行しはじめ、1月から2月にかけてピークを迎えます。ワクチンの効果は接種の約2週間後から現れ、約5か月間持続するとされているため、流行のピークをカバーできる11月中の接種が一つの目安になります。

接種回数は、13歳以上は原則1回、13歳未満は2回です。2回接種する場合は、2〜4週間の間隔を空けて接種します。

接種後に気をつけたいこと

ワクチンを接種していても、インフルエンザにかからないわけではありません。接種後も、手洗い、うがい、咳エチケット、十分な睡眠と栄養といった日常の予防を続けることが大切です。

なお、発熱がある場合や体調が優れない場合は、接種当日でも見合わせることがあります。当院では、医師の判断で接種できなかった場合の診察のみの料金(1,500円)を設定しています。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、神経節に潜んだまま残り、加齢や疲労で免疫が低下したときに再び活性化して起こる病気です。

帯状疱疹の症状と後遺症

帯状疱疹では、体の左右どちらか一方に、帯状に痛みを伴う赤い発疹と水ぶくれが現れます。発疹が出る数日前から、ピリピリ、チクチクとした痛みが先行することも少なくありません。

注意したいのが、皮膚の症状が治まった後も痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)です。50歳以上で発症した方に起こりやすいとされ、数か月から数年にわたって痛みが残ることもあります。帯状疱疹は日本人の3人に1人が80歳までに経験するといわれており、決してまれな病気ではありません。

シングリックス(組換えワクチン)

当院で取り扱うシングリックスは、筋肉内に2回接種する組換えタンパクワクチンです。1回目の接種から2か月の間隔を空けて2回目を接種します。

厚生労働省の資料では、組換えワクチンの発症予防効果は接種1年後で9割以上、5年後で約9割、10年後で約7割と示されています。帯状疱疹後神経痛に対しても、接種3年後の時点で9割以上の予防効果が報告されています。

主な副反応としては、接種部位の発赤、筋肉痛、疲労感が30%以上、頭痛や腫れが10%以上に見られるとされています。接種翌日に強めの倦怠感が出ることがあるため、接種日は予定を詰め込みすぎないようにすると安心です。

定期接種の対象になる方

帯状疱疹ワクチンは、2025年度から定期接種に位置づけられました。その年度に65歳になる方が基本の対象で、2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方も対象となります。

定期接種として受けられるのは、該当する年度の1年間のみです。対象年度を過ぎると任意接種(自費)になるため、通知が届いた年度内に接種を検討することをおすすめします。中央区の実施内容は年度ごとに更新されるため、詳細は区の案内でご確認ください。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は、肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などを引き起こす細菌です。高齢の方や、心臓・呼吸器・腎臓の病気、糖尿病などの基礎疾患がある方では重症化しやすいとされています。

当院で取り扱うニューモバックス(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)は、成人の肺炎球菌感染症の予防を目的としたワクチンです。

  • 接種は原則1回
  • 再接種を行う場合は、前回の接種から5年以上の間隔を空ける
  • 5年未満での再接種は、接種部位の強い痛みや腫れが出やすいとされている

なお、高齢者の肺炎球菌の定期接種で使用されるワクチンは制度上の変更があるため、定期接種として受けられるかどうかは中央区の案内をご確認いただき、当院では自費での接種としてご案内しています。

インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンは同時接種が可能です。冬の流行期に備えて、まとめて相談される方も多い組み合わせです。

麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)

麻疹(はしか)と風疹(三日はしか)は、いずれも感染力が非常に強いウイルス感染症です。

麻疹は空気感染し、同じ空間にいるだけで感染することがあるほど感染力が強く、肺炎や脳炎といった重い合併症を起こすことがあります。風疹は、妊娠初期の女性が感染すると、胎児に難聴、心疾患、白内障などが生じる先天性風疹症候群のリスクがあります。

抗体検査から始めるのがおすすめです

麻疹・風疹は、年代によって定期接種の回数が異なり、免疫が十分でない世代があります。母子健康手帳で接種歴が確認できない場合は、抗体検査(各2,500円)で免疫の有無を確認してから接種を判断する方法が合理的です。

抗体が不十分だった場合は、MR混合ワクチン(10,000円)、または麻疹単独(7,000円)・風疹単独(7,000円)で接種します。

妊娠を希望する方とご家族へ

風疹の抗体が不十分な女性が妊娠を希望する場合、妊娠前の接種が推奨されます。ただし、MRワクチンは生ワクチンのため、接種後2か月間は避妊が必要です。また、妊娠中の方は接種を受けられません

妊婦さんへの感染を防ぐという観点では、同居するご家族の接種も重要です。中央区では、先天性風疹症候群対策として、対象となる方への抗体検査・予防接種費用の助成を行っています。

成人男性の風疹第5期定期接種

昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性は、公的な予防接種を受ける機会がなかったため、抗体保有率が低い世代とされています。この世代を対象とした風疹の第5期定期接種が実施されており、条件を満たす方は自治体の制度を利用して抗体検査と接種を受けられます

実施期間や申込方法は自治体によって異なるため、中央区にお住まいの方は区の案内をご確認ください

水痘・ムンプスワクチン

水痘(水ぼうそう)は、発熱と、全身に広がるかゆみを伴う発疹・水ぶくれが特徴の感染症です。子どもの病気という印象がありますが、成人がかかると重症化しやすいとされています。また、水痘にかかったことがある方は、将来の帯状疱疹のリスクを抱えることになります

ムンプス(流行性耳下腺炎、おたふくかぜ)は、耳の下から顎にかけての腫れと痛み、発熱が主な症状です。合併症として、難聴(ムンプス難聴)、髄膜炎、思春期以降の男性では精巣炎、女性では卵巣炎を起こすことがあります。ムンプス難聴は回復が難しいとされているため、予防の意義が大きい感染症です。

いずれも生ワクチンで、水痘は8,000円、ムンプスは7,000円です。抗体検査(各2,500円)で免疫の有無を確認してから接種を判断することもできます。

新型コロナウイルスワクチン

当院では、mRNAワクチンであるコミナティ(16,500円)を取り扱っています。

新型コロナウイルス感染症は、2024年度から、65歳以上の方および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能障害やHIVによる免疫機能障害がある方を対象に、秋冬に年1回の定期接種として実施されています。この対象に当てはまらない方は任意接種(自費)となります。

重症化しやすい基礎疾患がある方、医療・介護に従事している方、高齢のご家族と同居している方などは、接種のタイミングを医師にご相談ください

予防接種を受ける際の注意点

接種を受けられない方・注意が必要な方

次に当てはまる場合は、接種を見合わせる、または医師と個別に相談したうえで判断することになります。

  • 明らかな発熱(37.5℃以上)がある方
  • 重い急性疾患にかかっている方
  • ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 妊娠中の方(生ワクチンは接種できません)
  • 免疫を抑える治療を受けている方(生ワクチンは原則接種できません)
  • 卵アレルギーがある方(インフルエンザワクチンの場合は事前にお申し出ください)
  • 過去に接種後、体調に異変があった方

ワクチンの接種間隔

注射生ワクチン同士を接種する場合は、27日以上の間隔を空ける必要があります。一方、不活化ワクチンや、生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせでは、原則として間隔の制限はありません

複数のワクチンを予定している場合や、健康診断・手術・妊娠の計画がある場合は、事前に順番を相談しておくとスムーズです。

接種後の過ごし方

接種後は、アナフィラキシーなどの急な副反応に備えて、院内または近くで30分程度は様子を見ることが推奨されます。接種当日の入浴は差し支えありませんが、接種部位を強くこすらないようにしてください。

激しい運動や過度の飲酒は当日は控えめにしましょう。接種部位の痛みや赤み、腫れ、発熱、倦怠感などは、多くの場合2〜3日以内に自然に治まるとされていますが、症状が強い場合や長引く場合は医療機関にご相談ください

東京センタークリニックは、日本橋駅から近い内科・皮膚科などの診療を行うクリニックで、予防接種のご相談にも対応しています。ワクチンは取り寄せとなるため、接種をご希望の際は事前にお問い合わせください

予防接種についてよくある質問

予防接種は予約が必要ですか?

ワクチンは取り寄せとなるため、事前のお問い合わせ・ご予約をお願いしています。ご希望のワクチンと接種を希望される時期をお伝えいただくと、準備がスムーズです。インフルエンザワクチンは秋以降に希望が集中するため、早めのご相談をおすすめします。

予防接種は保険適用になりますか?

予防接種は原則として自費診療(保険適用外)です。ただし、自治体の定期接種の対象となる場合は、公費負担により無料または一部自己負担で接種できます。ご自身が対象になるかどうかは、中央区の案内をご確認ください

複数のワクチンを同じ日に接種できますか?

インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンのように、同時接種が可能な組み合わせがあります。一方で、注射生ワクチン同士は27日以上の間隔を空ける必要があります。接種を希望するワクチンをすべてお伝えいただければ、接種の順番とスケジュールをご提案します。

子どもの頃に受けたかどうかわかりません。どうすればよいですか?

母子健康手帳で接種歴を確認するのが確実ですが、記録が残っていない場合は、抗体検査(各2,500円)で現在の免疫の有無を確認する方法があります。十分な抗体があれば接種を見送るという判断もできるため、まず検査から始めるのも一つの選択肢です。

熱がありますが、接種できますか?

明らかな発熱(37.5℃以上)がある場合は、接種を見合わせます。また、発熱がなくても体調が優れない場合は、医師の判断で見合わせることがあります。日を改めて接種いただくことになりますので、体調が回復してからあらためてご相談ください。

帯状疱疹ワクチンは何歳から受けられますか?

50歳以上の方が対象となります。定期接種の対象となるのは、その年度に65歳になる方と、経過措置に該当する70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方です。50代で希望される場合は任意接種(自費)となり、当院では1回22,000円、2回で44,000円でご案内しています。

副反応が出たときはどうすればよいですか?

接種部位の痛み、赤み、腫れ、発熱、倦怠感などは、2〜3日以内に自然に治まることが多いとされています。ただし、息苦しさ、じんましんの広がり、顔や喉の腫れ、意識がもうろうとするといった症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。判断に迷う場合も、まずはご連絡ください。