しみや肝斑は、見た目に大きな影響を与える肌の悩みですが、実は多くの人が経験しているものです。特に女性に多く、紫外線やホルモンバランスの乱れが関係していることが多いと言われています。年齢を重ねるごとに気になるこれらの悩み、どうしたら改善できるのでしょうか。ここでは、しみや肝斑の原因とその予防法、効果的なケア方法についてご紹介します。肌の悩みを少しでも解消できるよう、一緒に学んでいきましょう。
しみ・肝斑について
紫外線やホルモンバランスの乱れなど、様々な要因から現れるしみと肝斑。一見すると区別がつきにくく、判断するのは難しいとされています。一般的にしみと呼ばれるものには、複数の種類があります。肝斑は、一般的なしみやそばかすとは異なるタイプのしみです。正しく治療を行うためにも、しみと肝斑について知っておきましょう。
しみの種類
しみには色々な種類があり、それぞれに合った治療法があります。診断・治療法を間違えると、しみが薄くならないことや、かえって悪化してしまうこともあります。治療を開始する前にどのようなしみなのかを正確に診断することは非常に大切です。
しみには以下の種類があります。
- 日光性黒子(老人性色素斑)
- 炎症後色素沈着
- そばかす
肝斑とは
肝斑は、主に女性ホルモンの乱れが原因で起こるしみと考えられています。女性に多い症状ですが、男性でもごく稀に肝斑の症状が出ることもあり、肝斑ができるメカニズムはすべて解明されているという訳ではありません。
妊娠や出産、ピルの服用、過度なストレスなど、女性ホルモンに影響を与えるタイミングで肝斑ができることが多く、30代頃から肝斑の症状が現れる人が増える一方で、閉経後には少しずつ薄くなっていき、人によっては自然に消失することもあります。
しみと肝斑の違い
肝斑はしみの一種ですが、ホルモンバランスの乱れが原因です。主に目の下から頬にかけて左右対称にできる点が大きな特徴です。一般的にしみと呼ばれるものは「老人性色素斑」が多く、肝斑とは異なり、必ずしも左右対称にできるわけではありません。紫外線などの影響が大きいです。
また、しみと肝斑には見た目にも違いがあります。紫外線が主な原因ででき、年齢と共に現れるしみは、輪郭がハッキリとした茶色い楕円形をしています。1ヵ所のみにできたり、片方の頬にだけポツポツと現れたりすることもあるのが特徴です。
肝斑ははっきりした輪郭を持たず、ぼやっとした薄茶色のしみが現れるのが特徴です。
さらに、しみと肝斑では、それぞれ治療法も異なります。特に肝斑は治療が難しく、正しい治療を行わなければ悪化させてしまい、かえって目立ってしまうこともあります。
しみ・肝斑の治療法
しみや肝斑の治療法には、いくつかの選択肢があります。どの方法が自分に合うのか、悩むことも多いでしょう。まずは自分のしみがどの種類に当てはまるのかを知り、専門的な治療法から日常的なケアまで、それぞれに合った効果的なアプローチをしていきましょう。
しみの治療
しみの治療法には、レーザー治療、内服治療(飲み薬)、外用治療(塗り薬)など様々な方法があります。ビタミン剤やトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン配合の外用薬が有効です。そして紫外線対策も重要な治療法のひとつです。どの治療をおこなうべきかはしみの種類や数、原因によって異なりますので、まずはしみの症状をしっかりと見極めることが重要です。
紫外線が原因で、年齢と共に目立つようになったしみには、しみレーザーでの治療が効果的です。レーザーの熱でメラニン組織の細胞を破壊し、ほとんどの場合1回の施術でしみを解消することができます。しみレーザーは照射してから1ヶ月程経つと炎症性色素沈着が起こり、一時的にしみが濃くなることがありますが、このしみは徐々に薄くなるのでご安心ください。保湿ケアや紫外線対策を続けることが大切です。
肝斑の治療
肝斑治療は、トラネキサム酸などの内服やピーリングなどでの治療が基本です。トラネキサム酸は色素沈着抑制効果をもつ成分なので、肝斑に有効といわれています。ビタミンC配合の医薬品を内服することによって、血流にのって皮膚に成分が届けられ、体の内側から効果を発揮します。
ピーリングは古い角質を剥離し、肌を生まれ変わらせる治療で、肌のターンオーバーの促進をお手伝いしてくれます。乱れてしまったターンオーバーを正常に戻しつつ、メラニン色素を排出していくことでしみを少しずつ薄くしていきます。
ただ、それだと時間がかかってしまうので、手っ取り早いのはレーザー治療です。しみの治療にはレーザーが用いられることが多いですが、通常のしみ治療と同じ威力のレーザーを肝斑治療で照射すると、かえって色が濃く目立つようになってしまいます。そのため、肝斑治療には特殊なレーザーを非常に弱い力で照射して薄くしていくレーザートーニングで行うのが一般的です。レーザートーニングは1度の施術で肝斑が改善されるというわけではなく、何度も行うことで微弱なレーザーがメラニンに作用し、肝斑を少しずつ薄くしていきます。
しみ・肝斑を防ぐには
しみや肝斑を防ぐためには、日々の生活習慣が大切です。紫外線対策や食生活の見直し、適切なスキンケアが効果的な予防につながります。これらの習慣を取り入れることで、肌の健康を守り、しみや肝斑を予防することができます。詳しくみていきましょう。
生活習慣を整える
規則正しい生活を送り、ホルモンバランスを整えることが大切です。生活リズムが乱れているなと感じる方は、見直しを図りましょう。
健康的な日々を過ごすには、主に「十分な睡眠」と「バランスのよい食事」「適度な運動」この3つです。また、過度に摂生してストレスをためないことも重要です。
まず、たばこやアルコールは控えめにすると良いでしょう。喫煙によって肌の血液の流れが悪くなる、飲酒によってビタミンCがアルコールの分解に利用されてしまうといったデメリットがあるためです。
また、寝ている間に皮膚に栄養が補給され、老廃物を外に出しているため、睡眠を十分に取ることも重要です。質の良い睡眠のために、疲労回復に効果的なビタミンB群を、ビタミン製剤などで摂取するのも良いかもしれません。
休養を取るとともに適度な運動を心がけることによって、ストレスを軽減したり、ストレス解消の方法を見つけたりして心身の健康を保ち、しみ・肝斑を予防しましょう。
紫外線対策
しみや肝斑が増悪する原因として、共通して紫外線が挙げられます。紫外線は、1年中地上に降り注いでいるため1年を通して紫外線対策が必要になります。夏場だけでなく、冬場や曇りの日でもしっかりと対策しましょう。
紫外線には、紫外線A波とB波があり、紫外線A波はガラスなどもすり抜けて真皮まで到達して肌にダメージを与え、しみだけでなくしわやたるみの原因にもなります。紫外線A波は、一気に肌を黒くするのではなく、曇りの日や室内にいてもじわじわと肌に影響を与えるため注意が必要です。紫外線B波は、表皮までしか到達しませんが、紫外線の強い時期に浴びるとやけどのように肌を炎症させ、肌表面のバリア機能を破壊してしみだけではなく乾燥の原因にもなります。
紫外線対策として有名なのは、日焼け止めを塗ることです。日焼け止めは、朝1度塗ったからその日1日大丈夫ということではなく、汗などで自然と取れて効果が減少してしまうことがあるので、数時間おきに塗り直す必要があります。
日焼け止め以外にも、サングラスや帽子、日傘などの日焼け対策グッズを活用することも重要です。ただし、地面からの照り返しでも肌にダメージを受けるため、日焼け対策グッズを使用しているから日焼け止めを塗らなくてもよいということではなく、日焼け止めを塗った上でグッズを使用するとより高い紫外線対策効果を得られるということを理解しておきましょう。
ニキビや湿疹などはしっかり治療する
ニキビや湿疹などの皮膚の炎症疾患の治療はしっかり行いましょう。それは、放置していると色素沈着の原因になり得るからです。しっかり治療し、痕が残らないようにすることが大切です。ニキビとは思春期以後、皮脂分泌の亢進などにより毛胞内(毛穴の中)に皮脂と角質がたまり、それが化膿してしまった状態です。ホルモンの影響をうけてできるもの、白ニキビから炎症を伴うものまでさまざまなものがあり、ニキビが治った後には、皮膚の赤みや凹凸や色素沈着といった、いわゆるニキビ跡を残す可能性が高いので要注意です。
しみ・肝斑に関するよくある質問
肝斑になりやすい人の特徴、できる人・できない人の違いは?
肝斑は、誰にでもできるわけではありません。特に、30〜50代の女性や、ホルモンバランスが変化しやすい時期(妊娠中・更年期・ピル服用中)にある方は、肝斑ができやすい傾向にあります。
また、色白・敏感肌・皮膚の薄い方は、紫外線や摩擦の刺激に弱く、肝斑が現れやすいとされています。反対に、肌のバリア機能が強く、刺激に対して強い人は比較的できにくいと言えるでしょう。
さらに、ストレスや睡眠不足、偏った食生活なども肝斑を悪化させる要因になります。体質に加えて、生活習慣や日頃のケアの差が「できる人・できにくい人」の違いを生んでいるのです。
しみに効く漢方薬はあるの?
しみに効く漢方処方は、肌の生まれ変わりを助けるために、血行を良くするものが適しています。血行不良が関係する幅広い症状に効果のある処方が用いられます。しみに効く漢方薬には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などがあります。
どれも滞った血の巡りを良くし、肌のターンオーバーを整える漢方薬です。お肌の生まれ変わりを助け、しみをカラダの中からしっかり改善してくれます。
しみ・肝斑は市販薬でも効果ある?
ビタミンC剤やトラネキサム酸など、しみや肝斑に効く市販薬はあります。ただし、市販薬は、気軽に購入できて副作用の心配も少ない反面、高い効果は実感しにくいです。また、保険は適用されません。
しみと肝斑は見分けがつきにくく、治療法も異なるため、医師の診察を受けた方が適切な治療を受けることができるでしょう。