のどが痛くて飲み込むのもつらいとき、どんな薬で治療するのか気になりますよね。
扁桃炎の薬は、原因がウイルスか細菌かによって変わり、細菌が原因と考えられる場合には抗菌薬が用いられます。
手元にある解熱鎮痛薬や以前もらった抗菌薬で様子を見ていると、原因に合った治療が遅れてしまうことがあります。
この記事では、扁桃炎に使われる薬の種類と役割、抗菌薬が必要になるケースの見分け方、治療の流れ、繰り返すときに検討される選択肢について解説します。
つらい症状への対処を考える手がかりにしてください。
扁桃炎の薬はウイルス性か細菌性かで変わる
扁桃炎の治療を考えるうえで、まず知っておきたいのが原因によって使う薬が変わるという点です。
扁桃炎は、のどの奥の両側にある口蓋扁桃に炎症が起きた状態を指します。
急性扁桃炎の多くはウイルス感染によるものとされ、一部は細菌感染によって起こると考えられています。
この違いが、抗菌薬を使うかどうかの分かれ目になります。
ウイルス性の扁桃炎で行われる治療
ウイルスが原因の場合、抗菌薬は効果がないとされています。
そのため治療は、痛みや熱をやわらげる対症療法が中心になります。
- 解熱鎮痛薬で痛みと熱をやわらげる
- 水分をこまめにとる
- 十分に休養する
体の免疫の働きでウイルスが抑えられていく過程を支える、という考え方です。
抗菌薬を使わないと聞くと不安に感じるかもしれませんが、必要のない抗菌薬を使うことは、副作用や耐性菌の問題につながるとされています。
細菌性の扁桃炎で抗菌薬が使われる理由
一方で、溶連菌などの細菌が原因と考えられる場合には、抗菌薬による治療が行われます。
細菌性の扁桃炎では、症状をやわらげるだけでなく、まれに起こる合併症を防ぐという意味でも抗菌薬が用いられるとされています。
ただし、原因がウイルスか細菌かを症状だけで見分けることは難しく、診察や検査をふまえて医師が判断します。
扁桃炎の薬の種類と役割
扁桃炎の治療では、いくつかの薬が組み合わせて使われます。それぞれの役割を整理しました。
| 薬の分類 | 主な役割 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 抗菌薬(抗生物質) | 原因となる細菌に働く | 細菌性が疑われるとき |
| 解熱鎮痛薬 | のどの痛みと発熱をやわらげる | 症状が強いとき |
| うがい薬・トローチ | のどを清潔に保ち、不快感をやわらげる | 補助的なケアとして |
| ステロイド | 強い腫れや痛みを抑える | 医師が必要と判断した場合 |
どの薬を使うかは、原因がウイルスか細菌かによって変わるため、自己判断ではなく診察をふまえて決まります。
抗菌薬(抗生物質)
抗菌薬は、医師の処方が必要な薬です。
溶連菌が原因と考えられる場合はペニシリン系の内服が基本とされ、アレルギーがある場合などにセフェム系やマクロライド系が検討されます。
服用期間は10日間ほどを目安に指示されることが多く、原因として想定される菌やアレルギーの有無、年齢、持病をふまえて医師が判断します。
「のどが痛いから抗菌薬」というものではなく、必要と判断された場合に使われる薬です。
痛みと熱をやわらげる薬
つばを飲み込むのもつらいときは、痛みを抑える薬が生活の助けになります。
アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが使われますが、年齢や持病、飲んでいる薬によって使える種類が異なります。
錠剤が飲みにくいときは、その旨を伝えると剤形を調整してもらえることがあります。
うがい薬やトローチの位置づけ
うがい薬やトローチは、のどを清潔に保ち、不快感をやわらげるための補助的なケアです。
これだけで扁桃の炎症そのものを抑えるものではないため、症状が強いときは他の治療と組み合わせて考えます。
なお、のどの痛み用の市販薬は一時的に楽になることはあっても、細菌性の扁桃炎そのものに対応するものではありません。
抗菌薬が必要になる扁桃炎の見分け方
「自分の場合は抗菌薬が必要なのだろうか」と気になる方も多いはずです。
判断には診察と検査が必要ですが、細菌性が疑われやすい特徴を知っておくと、受診の判断がしやすくなります。
溶連菌が疑われるときの特徴と検査
溶連菌による扁桃炎では、次のような特徴が見られることがあるとされています。
- のどの痛みが強い
- 38度以上の発熱
- 扁桃に白い付着物(白苔)が見える
- 首の前側(前頸部)のリンパ節が腫れて痛む
- 咳や鼻水が目立たない
咳や鼻水が中心の場合はウイルス性の可能性が高いとされ、逆に咳がないのにのどだけが強く痛むときは細菌性が疑われるという考え方があります。
診察では、必要に応じてのどの粘液を綿棒で採取する迅速検査が行われることがあります。おおむね5分から10分程度で結果が分かるため、抗菌薬を使うかどうかの判断材料になります。
ただし、これらの特徴が当てはまるかどうかを自分で見分けることは難しく、鏡でのどを見ただけで自己判断するのは避けてください。
抗菌薬を最後まで飲み切ることが大切な理由
抗菌薬が処方されたときに、必ず守りたいのが指示された分を飲み切ることです。
症状は数日で軽くなることが多いものの、そこで自己判断でやめてしまうと、症状がぶり返したり、まれに合併症につながったりすることがあるとされています。
- 症状が軽くなっても指示された日数まで続ける
- 飲み忘れたときに2回分をまとめて飲まない
- 以前処方されて余っている抗菌薬を自己判断で使わない
とくに最後の点は注意が必要です。原因菌が異なれば適した薬も変わるため、残っている薬の流用は避けてください。
東京センタークリニックは、日本橋駅から近い内科・皮膚科などの診療を行うクリニックで、扁桃炎の相談にも対応しています。
扁桃炎の薬による治療の流れと軽快までの目安
どのくらいで楽になるのか、見通しが分かると不安が減ります。
急性扁桃炎は、適切な治療を行うことで数日から1週間程度で軽快に向かうことが多いとされています。
症状が落ち着くまでの経過
発熱は治療開始から2日から3日ほどで落ち着いてくることが多いとされ、のどの痛みはその後にやわらいでいく流れが一般的です。
ただし経過には個人差があり、体力や原因、もともとの持病によっても変わります。
痛みが強い時期は無理に食事をとろうとせず、水分とのどを通りやすいものを優先するほうが体を守りやすくなります。
熱が下がった後も、だるさや疲れやすさが数日残ることは珍しくありません。急に元の生活に戻すと再び体調を崩すことがあるため、回復に合わせて少しずつ戻していきましょう。
仕事や学校への復帰時期は、症状の落ち着き方や感染性の有無、職種によって変わります。いつから戻ってよいかは、自己判断せずに診察時に確認しておくと安心です。
薬を飲んでも改善しないときに考えられること
数日たっても症状が変わらない、あるいは悪化する場合は、次のような可能性が考えられます。
- 原因菌に薬が合っていない
- 扁桃の周囲に膿がたまっている(扁桃周囲膿瘍)
- 別の疾患が隠れている
「もらった薬を飲み切ってから相談しよう」と我慢せず、変化がないと感じた時点で再度受診してください。
扁桃炎を繰り返す場合に検討される治療
年に何度も扁桃炎を起こすと、そのたびに仕事や生活に影響が出てしまいます。
繰り返すケースでは、その都度の治療だけでなく、根本的な対応が検討されることがあります。
慢性扁桃炎と反復性扁桃炎という考え方
扁桃の炎症が慢性的に続いている状態を慢性扁桃炎、急性の扁桃炎を年に何度も繰り返す状態を反復性扁桃炎と呼びます。
年に4回以上繰り返す状態は反復性扁桃炎と呼ばれ、単なる風邪の延長ではなく、扁桃そのものへの対応を考える段階とされています。
まずは、繰り返している回数や時期を記録しておくと、相談時に役立ちます。
手術が選択肢になる目安
2年間で計8回以上繰り返しているようなケースや、扁桃周囲膿瘍を繰り返す場合には、扁桃を摘出する手術(扁桃摘出術)が選択肢のひとつとして検討されることがあります。
適応の判断や手術は耳鼻咽喉科で行われるため、必要に応じて専門医と相談していく流れになります。
手術がすべての方に必要になるわけではありません。まずは現在の症状と繰り返しの状況を医師に伝え、方針を一緒に整理していきましょう。
扁桃炎で受診したほうがよい症状
扁桃炎の多くは治療によって軽快に向かいますが、急いで対応したほうがよい状態もあります。
すぐに受診したい危険なサイン
次のような症状があるときは、速やかに受診してください。
- 水分が飲み込めない
- 息苦しさがある
- 口が開けにくい
- 片側だけが強く腫れている
- 声がこもる、話しにくい
- 高熱が続いている
これらは扁桃の周囲に膿がたまる扁桃周囲膿瘍などの可能性があり、切開などの処置が必要になることもあります。
とくに息苦しさや水分がとれない状態を伴う場合は、時間帯によらず耳鼻咽喉科や救急外来へご相談ください。夜間や休日は、救急相談窓口を利用するのも選択肢になります。
薬と合わせて行いたい生活上の工夫
治療中は、のどへの負担を減らす工夫が回復を支えます。
- こまめに水分をとる
- 部屋を加湿する
- のどにやさしい食事にする(熱すぎるもの、刺激物、アルコールは控える)
- 喫煙を控える
- 十分に休養をとる
これらは症状を楽にするための工夫であり、効果には個人差があります。無理をせず、体調に合わせて取り入れてください。
まとめ
扁桃炎の薬についてのポイントは、次のとおりです。
- 原因がウイルスか細菌かによって使う薬が変わる
- 細菌性が疑われる場合に抗菌薬が使われ、処方には受診が必要
- 抗菌薬は症状が軽くなっても飲み切ることが大切で、残薬の流用は避ける
- うがい薬やトローチは補助的なケアと位置づける
- 数日たっても改善しないときや、飲み込めない・息苦しいときは速やかに再受診する
- 年に何度も繰り返す場合は、専門医と手術を含めた方針を相談する
のどの痛みが強い、熱が下がらないといったときは、早めに医療機関にご相談ください。東京センタークリニックでは、症状や生活背景に合わせた診察・治療をご相談いただけます。