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湿疹の薬|ステロイド外用薬5段階の強さと部位別の使い分けを解説

かゆくて掻いてしまう、でもステロイドを使ってよいのか迷う。そんな状態が続いていませんか。

湿疹の治療は、炎症を抑えるステロイド外用薬を中心に、かゆみを抑える内服薬や保湿剤を組み合わせて行うのが基本です。

手元にある塗り薬を漫然と使い続けると、症状が長引いたり、別の疾患を見逃したりすることがあります。

この記事では、湿疹に使われる薬の種類、ステロイド外用薬の強さと部位別の使い分け、正しい塗り方、受診したほうがよい目安について解説します。

薬とのつき合い方を整理する手がかりにしてください。

湿疹の薬は外用薬と内服薬を組み合わせて使う

湿疹の治療は、皮膚に直接働きかける外用薬を主体に、必要に応じて内服薬を組み合わせるという形で進みます。

湿疹(皮膚炎)は、皮膚に赤み、ぶつぶつ、かゆみ、じくじくとした滲出などが出る炎症の総称です。

原因は乾燥、摩擦、刺激物質との接触、体質などさまざまで、原因によって適した薬が変わります。

湿疹とかぶれ・蕁麻疹との違い

似た症状でも、経過や治療の方向性が異なるものがあります。

項目湿疹かぶれ(接触皮膚炎)蕁麻疹
主な症状赤み、ぶつぶつ、かゆみ、じくじく触れた部位に一致した赤みとかゆみ皮膚が盛り上がる膨疹と強いかゆみ
経過の傾向数日から数週間続くことがある原因物質を避けると落ち着いていく多くは数時間から24時間以内に跡を残さず消える
主に使われる薬の方向性ステロイド外用薬が中心原因の回避とステロイド外用薬抗ヒスタミン薬の内服が中心

いずれも傾向であり、見た目だけで区別できるとは限りません。

とくに蕁麻疹は塗り薬では効果が得られにくく、内服が主体になるという点で治療の方向性が大きく異なります。判断に迷うときは自己判断で塗り薬を続けず、診察を受けてください。

外用薬と内服薬それぞれの役割

治療の役割分担は、次のように整理できます。

  • 外用薬(塗り薬):炎症が起きている皮膚に直接作用する、治療の主体
  • 内服薬(飲み薬):かゆみをやわらげるための補助的な役割
  • 保湿剤:皮膚のバリア機能を保ち、繰り返しを防ぐための土台

かゆみ止めの飲み薬だけでは、皮膚の炎症そのものは抑えにくいと考えられています。

湿疹の薬の中心となるステロイド外用薬

湿疹の治療で中心となるのが、ステロイド外用薬です。

ステロイド外用薬が湿疹に使われる理由

ステロイド外用薬は、皮膚で起きている炎症を抑える働きがあり、湿疹治療の基本とされています。

「ステロイドは怖い」というイメージを持つ方は少なくありませんが、医師の指示に沿って必要な期間、必要な量を使う範囲であれば、過度に恐れる必要はないとされています。

むしろ心配なのは、不安から量を減らしすぎたり、途中でやめたりして炎症が抑えきれず、かゆみと掻き壊しを繰り返してしまうケースです。

適切に使うためにも、自己判断ではなく医師と相談しながら進めることが大切になります。

ステロイド外用薬の5段階の強さ

ステロイド外用薬は、作用の強さによって5つのランクに分けられています。

ランク主に使われる部位や場面の傾向
ストロンゲスト(最も強い)症状が強く、皮膚の厚い部位に限って使われることがある
ベリーストロング(非常に強い)体幹や手足の症状が強い場合
ストロング(強い)体幹や手足の一般的な湿疹
ミディアム(中程度)顔や首など、比較的皮膚の薄い部位
ウィーク(弱い)皮膚が薄い部位や、症状が軽い場合

この表は自分で薬を選ぶためのものではなく、処方された薬がどの位置にあるかを把握するためのものです。顔には弱め、手のひらには強めというように、部位に合わせて選ばれます。

なお市販薬では「マイルド」などの表記が使われることもあり、医療用の分類とそのまま対応するとは限りません。

どのランクを使うかは、症状の強さ・部位・年齢をふまえて医師が判断します。

同じ「湿疹」でも、出ている場所によって選ばれる薬が変わるのはこのためです。強いランクほど良いというものではなく、部位に合わないランクを使うと別の問題が起こることがあります。

湿疹の薬は部位と年齢で使い分ける

ステロイド外用薬を理解するうえで欠かせないのが、同じ薬でも部位によって効き方が変わるという視点です。

顔や首など皮膚が薄い部位での考え方

皮膚の厚さは部位によって異なり、それによって薬の吸収されやすさも変わります。

  • 顔や首、陰部:皮膚が薄く吸収されやすいため、比較的弱いランクが選ばれる傾向があります
  • 体幹や腕、脚:中間的な位置づけで、症状に応じてランクが選ばれます
  • 手のひらや足の裏:皮膚が厚く吸収されにくいため、強めのランクが必要になることがあります

皮膚の表面にある角層の厚さや血流の多さが部位によって違うため、同じ薬を塗っても届き方が変わってきます。

また、同じランクの薬でも、塗る面積が広ければ体に入る総量は増えます。「弱い薬だから広く塗っても大丈夫」とは限らない点にも注意が必要です。

体に処方された薬を顔に塗る、といった自己判断での使い回しは避けてください。同じ湿疹でも、部位が違えば適した薬が違います。

子どもに使うときに気をつけること

子どもは大人よりも皮膚が薄く、年齢や体重によって使える薬や量が異なります。

大人用に処方された薬を量だけ減らして使う、といった対応は適切ではありません。子どもの症状には、小児に対応した医療機関で処方を受けるほうが安心です。

とくにおむつの当たる部位は、密閉された状態に近くなることで薬が吸収されやすくなるとされています。塗る範囲や期間について、処方時に確認しておきましょう。

妊娠中・授乳中の方も、使用できる薬や範囲について確認が必要です。市販薬を含めて、自己判断で始める前に医師・薬剤師に相談しましょう。

湿疹の薬の剤形と正しい塗り方

見落とされがちですが、同じ薬でも剤形と塗り方によって使い心地や効き方が変わります。

軟膏・クリーム・ローションの使い分け

外用薬には、いくつかの剤形があります。

剤形特徴向いている部位や状態
軟膏油分が多く、皮膚を保護する力が高いじくじくした部位、傷がある部位
クリームのびがよく、べたつきにくい。傷や強く荒れた部位ではしみることがある広い範囲、じくじくしていない部位、べたつきを避けたいとき
ローション液状で塗り広げやすい頭皮など毛のある部位

どの剤形が適しているかは、症状の状態と塗る部位によって変わります。

「べたつくのが苦手」といった使い心地の希望も、続けやすさに関わる大切な情報なので、遠慮せず伝えてください。

塗る量の目安と塗り方のコツ

意外と多いのが、薄く塗りすぎて効果が出にくくなっているケースです。

目安として知られているのが、FTU(フィンガーチップユニット)という考え方です。

チューブから大人の人差し指の先端から第一関節まで出した量が1FTUで、おおよそ手のひら2枚分の面積に塗る量とされています。

ただし、この目安が当てはまるのは口径が5mm程度のチューブの場合です。小さなチューブでは同じ長さを出しても量が少なくなるため、実際にどのくらい塗ればよいかは処方時に確認しておくと確実です。

液状のローションはこの目安が使いにくく、1円玉大がおおよその代わりとされています。

塗るときは、次の点を意識してください。

  • すり込まず、置くようにやさしく広げる
  • 清潔な手で塗る
  • 入浴後など、皮膚が清潔で水分のあるタイミングで塗る
  • 保湿剤との塗る順番は医師の指示に従う
  • 指示された回数を守る

「少なめにしておこう」と自己判断で量を減らすと、炎症が残って治療が長引くことがあります。

ステロイド以外に湿疹で使われる薬

湿疹の治療では、ステロイド以外の薬も状況に応じて使われます。

非ステロイドの外用薬

ステロイドを使いにくい部位や、長期の管理が必要な場合には、非ステロイド性の抗炎症外用薬や、免疫の働きを調整する外用薬が選ばれることがあります。

ステロイドを長期にわたって使いにくい顔やまぶたなどで、選択肢になることがあります。

使い始めにほてりや刺激感が出ることがあるとされていますが、続けるうちに落ち着くこともあります。気になるときは自己判断で中止せず、医師に相談してください。

いずれも適した場面や使える部位が決まっているため、医師が症状に応じて選びます。

かゆみに用いられる内服薬

かゆみが強く、掻いてしまって悪化する場合には、抗ヒスタミン薬の内服が補助的に使われることがあります。

薬の種類によっては眠気が出ることがあるため、仕事や運転への影響が気になる場合は事前に伝えておきましょう。

土台になる保湿剤

保湿剤は、皮膚のバリア機能を保ち、刺激を受けにくい状態を保つ目的で使われます。

炎症が落ち着いた後も継続することで、繰り返しにくい状態を目指していく位置づけです。効果の感じ方には個人差があるため、続け方は医師と相談しながら決めていきます。

湿疹の薬を使ううえで気をつけたいこと

薬を安全に使うために、押さえておきたい注意点があります。

自己判断で長く使い続けない

ステロイド外用薬を漫然と長期間使い続けると、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つようになるといった変化が起こることがあるとされています。

一方で、症状が少し良くなったところで自己判断でやめてしまい、再び悪化して繰り返すというパターンも少なくありません。

強く使いすぎることも、早くやめすぎることも避けたいところです。やめどきや減らし方は、経過を見ながら医師と相談して決めていきましょう。

症状が改善しないときに考えられること

塗り薬を続けても改善しない場合、次のような可能性が考えられます。

  • 診断が異なる(白癬、疥癬、かぶれ、薬疹など)
  • 原因となる物質に触れ続けている
  • 薬のランクや剤形が症状に合っていない
  • 塗る量や回数が足りていない

とくに注意したいのが、白癬(水虫)やヘルペスのように、細菌・カビ・ウイルスによる感染が原因の皮膚症状にステロイドを塗ってしまうと、かえって広がることがあるという点です。

自己判断で塗り続けるほど見分けが難しくなることもあるため、変化がないときは早めに相談してください。

東京センタークリニックは、日本橋駅から近い内科・皮膚科などの診療を行うクリニックで、湿疹の相談にも対応しています。

医療機関での治療が必要な湿疹の見分け方

すべての湿疹が受診を必要とするわけではありませんが、早めに診てもらったほうがよい状態があります。

受診をすすめたい症状

次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。

  • 広い範囲に広がっている
  • じくじくして滲出液が出ている
  • 痛みや発熱を伴う
  • 数日から1週間ほどケアを続けても変化がない
  • 顔や陰部など、デリケートな部位に出ている
  • 子どもや高齢者に出ている
  • 同じ場所に繰り返し出ている

痛みや発熱を伴う場合は、細菌の感染が加わっていることもあります。

じくじくして滲出液が出ている状態は、皮膚のバリアが壊れて細菌が入りやすくなっているサインでもあり、塗り薬の選び方も変わってきます。

同じ場所に繰り返し出ている場合は、触れているものや生活環境に原因が隠れていることがあるため、原因の整理から始めるほうが近道になります。

受診時に伝えるとよいこと

診察をスムーズに進めるために、次の情報を整理しておくと役立ちます。

  • いつから、どこから広がったか
  • 思い当たるきっかけ(新しい洗剤、化粧品、金属、食べ物など)
  • これまでに使った薬と、その効き方
  • 仕事や趣味で触れているもの
  • かゆみで眠れているかどうか

症状は日によって変わるため、強く出ているときの写真を撮っておくと、医師が状態を把握しやすくなります。

まとめ

湿疹の薬についてのポイントは、次のとおりです。

  • 治療はステロイド外用薬を中心に、内服薬と保湿剤を組み合わせて進める
  • ステロイド外用薬には5段階の強さがあり、症状と部位をふまえて選ばれる
  • 顔は弱め、手のひらは強めというように、部位によって適した薬が変わる
  • FTUを目安に、薄く塗りすぎないことが大切
  • 自己判断での長期使用も、早すぎる中断も避け、やめどきは医師と相談する
  • 改善しないときは診断が異なる可能性もあるため、塗り続けずに受診する

かゆみが続いている、塗り薬を使っても変化がないというときは、一度ご相談ください。東京センタークリニックでは、症状や生活背景に合わせた診察・治療をご相談いただけます。